市役所を後にして、はやる気持ちを抑えながら物件に向かう。
物件の近くに着くころにはすでに正午近くになっており、日も高くなっていたが、春が近いとはいうものの、まだ季節は冬。山あいの地域ならではの何となくものさびしい風情が漂っていた。
山里って感じだね~。もうすぐだね~などと会話しながら車を走らせ、ある橋を渡ったその瞬間、深いブルーグリーンの川が目に飛び込んできた。
あまりの美しさに車を止めて、橋の上から川をのぞき込む。どうやらそこは小さなダムでもあるらしく、水の流れはゆるやかだった。息をのむほどの透明な水と美しい青緑色。
山から吹いてくる風が水面を撫でて、全体的に本当に細かいさざ波が立っている。それでもなお、川底の石がくっきりと見えるほど水は澄み渡っていた。
小さな頃から川やプールで多くの時間を過ごし、水が大好きな私にとって、いつでも泳げる透明な川か海のそばに住むのが夢だった。小学生の頃には青い川や海が好きすぎて、青い川に飛び込んでいる夢まで見たほどだ。そういえばあの時夢で見た川の色ととてもよく似ている。家の近くにこんな川があるなんて。物件自体も夢に描いたような物件だけど、近くにこんな川まであるなんて本当に夢のよう。
Pも「うわ~ほんとにすごいね。ほんと綺麗だね~!すごいね!」と繰り返しながら、川をずっとのぞき込んでいた。風が吹いていてかなり身体が冷えてきたため車に戻り、言葉では表しきれない喜びに満たされて物件へと向かった。
生まれてからこれまで、叶わなかった夢はあまりないけれど、「夢ってほんとに叶うんだな。」そんなことをしみじみと感じていた。
☆上の写真はその時見た川の写真です。
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