岐阜の家の契約に向かう数日前。「わくわくするね。夢のようだね。わくわく~。ドキドキ~。新しい生活が始まるね。どんな生活になるんだろうね。」と繰り返し言う私に、「Lはあの家で子供にかえるんだね。」とPが言った。
「子供ににかえる?」そう言われてもあまりピンとこなかったが、これから始まるであろう生活を思い描いた時、「そうか。確かにそうだ。」と思った。
「子供の頃」からの夢ではなくて、子供の頃は当たり前のようにあったものを失ってしまった頃からの夢。そんな夢が叶いつつある。
ずっとずっと、もう一度見たいと思い続けてきた、子供の頃見た光景。そんな光景をもう一度見ることができるかもしれない。
自然の中に、できれば故郷岐阜に暮らしの拠点を移したいと考え、家を探し始めて1年半。その候補となる物件に出会い、旧暦のお正月を迎える少し前にその場所に住むことが決まった。
きれいな山水がたくさんあって、家で使う水をその水でまかなえて、できれば水船をつくれるところ。そして街灯があまりなく(ほんとは全然なくていい。)、星が美しく天の川が見られるところ。
できればきれいな水が流れ込む田んぼと、畑に使える土地があって、近くに透明な青い川があり、泳ぎたい時にすぐに泳げるところ。そして、飛び交う蛍を家の中から眺められるところ。
家は古い木造で、縁側があって、引き戸を外せば大広間になって、お風呂は薪でも焚ける。いつかどこかで見たようなノスタルジックな雰囲気の建物。
トイレは水洗で、居間からの美しい山の稜線や風情のある木や田園風景が眺められて、できればすぐにでも住める。
そんな物件を探していた。そして、ある日、本当にそんな物件が見つかった。
そう。この物件はPが言う通り、子供の頃、私が過ごしていたような毎日をおくれる物件だった。子供の頃のような毎日をおくれたら・・・と夢見始めてから何十年もずっと探し続けてきた、まさに夢のような家。
ひぐらしの声とひんやりとした空気で目を覚ましたり、川に浮かんだり潜ったりしながら考え事をしたり、屋根を叩く雨の音を聞きながら山を眺めたり、木々を揺らす風の音を聞きながら本を読んだり、カエルの大合唱を聞きながら蛍を眺めたり、窓から差し込む月の光を浴びながら眠りについたり・・・そんなふうに過ごした子供の頃。
そう。ここで暮らせば、そんな毎日をおくることができる。子供の頃にかえるんだね。ほんとにそうだね。
そして、もう一度見たいと願い続けてきた光景。少しの努力をすれば、その光景が見られるかも知れない。
それは、蛍の光と、星の光と、川面に映る蛍の光。その3つの光がきらめく光景。水のきれいなこの土地なら、きっと見られるに違いない。
神さま。ご先祖様。P。そしてこの土地を守り続けてきて下さった方々。ほんとうにありがとう。ほんとに生きててよかった。
自然の中での毎日を、山も川も森も土も、どんな植物も生きものも、新しくご縁をいただく方々も大切な人達も、大切に大切にして一緒に暮らしていこう。
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